祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「キヨ、背中は痛くないのか?」

「うん、痛くないよ。心配性だなぁ、イノリは」

「強がるな。…ほら、俺の上で寝ろ。ヨダレ垂らしても怒らねぇから。寝相の悪いケンに背中蹴られたりしたらマズいだろ」



イノリがそう言うとキヨは嬉しそうにイノリの上に跨った。



胸に耳をつけると、イノリの心臓の音が聞こえる。

その鼓動が心地良かった。





「…おやすみ、イノリ」

「あぁ。おやすみ」



イノリはキヨの寝息が聞こえるまでキヨの髪を撫で続けた。




高校生が5人で寝るには狭すぎるベッド。

案の定、朝起きると5人全員がベッドから転げ落ちていた。





次の日から4人でマネージャーの仕事をこなし、最終日の試合を迎えた。



「私、カゼが本格的にサッカーするの見るの初めてかも。ドキドキするね」

「そうね、何事にもやる気のないカゼが唯一真剣に取り組むサッカーだもの。どんな感じなのかしら」

「想像つかねぇな」



4人がワクワクしながら待っていると、ウォーミングアップを終えたカゼ達サッカー部がグラウンドに並ぶ。




「え?カゼってキャプテンだったの?」

「そうみたいだな。腕にキャプテンマーク付けてっから」

「無口なカゼに部員をまとめられるのかな?」

「カゼは口数は少なくても信頼出来るからじゃないの?」



キヨ達はキャプテンマークを腕に掲げるカゼを見つめた。


相手チームにはイノリに殴られたあの男子達がいる。




「何か嫌な予感がする。カゼ、大丈夫かな…」



キヨ達がカゼを見つめていると、試合開始のホイッスルがグラウンドに響き渡った。




「カゼっ!!頑張って!!」




練習試合だというのに、白熱した試合が始まる。


カンナは普段見る事のない真剣なカゼの姿を目に焼き付けていた。