祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「カゼ、どうしたの?何か用だった?」

「………うん。キヨが泣いてる気がしたから来た」

「っ…カゼ!!」



キヨは携帯を床に落とすとカゼに抱きついた。

カゼは優しくキヨを抱きしめる。




「………やっぱり泣いてた。キヨは寂しがり屋だからね」

「だって部屋静かなんだもん。1人ぼっちだし」

「………じゃあ俺が一緒に寝てあげるよ」

「変な事しない?」

「………うん。イノリに殺されちゃうからね、何もしないよ」

「もう!カゼはイノリイノリうるさいな!!」



キヨが笑うと、カゼはキヨの手を引いて合宿所から出た。




「…?どこ行くの?」

「………海」



2人は手を繋ぎながら海へとやってきた。


夜の海は静かで暗くて、夜空と繋がって見えた。




「わぁ…山とはまるっきり違う雰囲気だね」

「………海と山は違うよ」

「そういう意味じゃなくて何て言うか…」



キヨが海を見つめていると、カゼは何やら浜辺をほじくり始めた。




「どうしたの?カニでもいた?でも食べちゃダメだよ」

「………違うよ。はい、キヨにあげる」



カゼは一枚の白い貝殻をキヨに渡した。




「わっ!貝殻だ。タニシと違って綺麗…ありがとう、カゼ」

「………やっと笑った」

「へ?」

「………キヨは笑ってた方が可愛いよ。だから笑って」



カゼはそう言うとキヨをくすぐり始めた。


笑いながらキヨが抵抗すると2人はバランスを崩し、浜辺に倒れた。



視界には満天の星空が広がる。




2人は土手で5人並んで寝転んで見る星空の方が綺麗だと思った。