祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「…待て。カゼはどこからこんな大量のひまわりを持ってきたんだ?」

「………あそこの家」



カゼが角の家を指差すと、イノリはカゼの頭を殴った。




「人んちのひまわり勝手に持ってくんな!!」

「………だってキヨがあまりにも喜んでくれるから、もっとあげたくて」

「だからってなぁ!!」

「まぁまぁイノリ。カゼの優しさがした事だから」



怒鳴るイノリを宥めるカンナ。

キヨは嬉しそうにひまわりを抱えている。




「で、結局誰んちから持ってきたの?知ってる人の家?」

「………知らない人の家」



カゼの言葉を聞いた4人は溜め息をつくと、カゼがひまわりを持ってきた家に謝りに行った。


それは小学3年生の夏休みのこと。







「そういえばそんな事もあったね」

「あん時はガキだったから許して貰えたものの、今だったら怒られっぞ」



高校最後の夏休み。

あの頃と変わらず、太陽が射す道を5人並んで歩いていた。




「…あれ?カゼは?」



ふとカゼがいない事に気付いたケン。


4人がキョロキョロと周りを見渡していると、カゼがノソノソと戻ってきた。



カゼの片手には一輪のひまわり。


カゼはあの頃と同じように、ひまわりをキヨの麦わら帽子に刺した。




「また勝手に取ってきたのかよ!!怒られても知らねぇぞ」

「………大丈夫。道端に咲いてたやつだから」

「キヨにはひまわりが似合うものね」

「うん♪キヨ可愛い」



5人は並んで歩きながら、真夏の空の下笑い合っていた。





あの頃から10年という月日は経っていたが、変わったのは体の大きさだけ。

他は何も変わっていない。


それが幸せだと思えた高校最後の夏休み。



もうすぐ夏が終わる。