祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

キヨ達の地元は山に近い為昼間は暑く、夜は涼しい。



「♪イノリの背中は大きいな〜キヨが乗れるし蚊も止まる〜」


「お前なぁ、『うみ』の歌の歌詞を替えて歌うなよ。…しかも人の背中の上で!」


「だってイノリの背中乗り心地がいいんだもん」



小学生最後の夏休みが終わりに向かいつつある夏の昼下がり。


キヨはイノリの家の縁側で、うつ伏せになりながらゲームをしているイノリの背中に乗って遊んでいた。



風が走る音
蛙が鳴く声
蝉時雨

イノリのゲームの音



その音色が子守唄となり、キヨはイノリの頭に顔を乗せたまま眠ってしまった。




「…ん?キヨ寝たのか?……俺の頭にヨダレ垂らすなよ」



静かになったキヨに気付いたイノリが頭を動かすと

キヨの顔がイノリの頭から落ち、ゴンッ!!という音と共に勢いよく床に叩きつけられた。




「うぎゃあああ!!痛ーい!!!!」



キヨは泣き叫びながら、ゴロゴロと転がっている。


イノリはゲームの電源を消し、起き上がるとキヨを抱き上げた。




「よしよし、泣くな。そんなに泣くと汗かくぞ」



イノリは座りながらキヨを抱っこしていると、いつの間にか眠ってしまっていた。