祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「じいちゃんどうしたんだろうね。毎年夏休みには必ず現れるのに、今日で夏休み終わりなのに、今年は1回も現れなかったね」


「………病気かな?」


「縁起でもねぇ事言うなよ、カゼ!!」


「でもじいちゃん、もう結構な歳だったし…ありえなくはないわよ」


「俺、じいちゃんに会いたいよ〜」




どんなに会いたくても、家を知らない為に会いに行けない。


どうする事も出来ない5人は、ボッと入道雲を眺めていた。





空の色が青からオレンジに変わる頃、5人の背後から自転車のベルの音がした。


5人が振り向くと、そこには三輪車に乗った麦藁じいちゃんがいた。




「じいちゃん!!!!」



5人がじいちゃんに駆け寄ると、じいちゃんは薄く微笑んだ。




「何で今年は来なかったの?みんなで待ってたのに」

「悪かったのぅ。ジジイはちょっと旅に出る準備をしててな」

「旅?どっか旅行に行くの?」



キヨの言葉に麦藁じいちゃんは頷いた。





「ワシは婆さんを捜す旅に行かなきゃならなくなってな。だからお前さん達とは今日でお別れなんだ」


「え?婆さんって…」


「婆さんはおるんだよ。だから捜しに行くんだ。ジジイが1人で寂しかったように、婆さんも寂しがっておると思うからなぁ」



麦藁じいちゃんは夕日に染まる広い空を見つめた。


5人はその意味が何となくわかると、涙が止まらなかった。