祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

カゼは明らかに不機嫌な顔をするイノリを見る。



「………また妬く」

「うっせぇ!!なんでそんな狭い所に2人で入ってんだよ!!」

「たまたまだよ!!カゼがロッカーに入れてくれなきゃ、私見つかってたよ」



キヨがイノリを宥めると、先生の足音が再び聞こえてきた。


焦った5人は教員用の机の下に詰めて隠れた。



高校生5人が入るには狭すぎるスペースだったが、我慢をして息をひそめた。




「…イノリ、邪魔」

「うるせぇな。キヨがプクプクしてっからキツいんだろ」

「痛い!カンナ、俺の急所蹴ってるよ〜」

「我慢しなさいよ。男でしょ!?」

「………腹の虫が鳴る」



ヒソヒソと文句を言い合う5人。



先生の足音が遠ざかると、ぎゅうぎゅうに体をくっつけ合っている5人はクスクスと笑い始めた。






それは高校生最後の夏休みの夜のこと。





教室の窓から差し込む月明かりは、机の下で体を密着させながら笑う5人を優しく照らしていた。