祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「どれか気に入ったのかい?」



店の前にしゃがみ込みネックレスを凝視する5人に、店主が話し掛けた。



「あれ、あれ!!」



キヨがネックレスを指差すと、店主はネックレスを手に取った。




「これが欲しいのかい?でもお嬢ちゃん達には高いかもしれんな」

「いくらなの?」

「2000円だよ」



値段を聞いた5人は固まる。
小学生には到底届かない値段。



しかし諦められない5人はジッとネックレスを見つめていた。




「…そんなに気に入ったかい、このネックレスが」



動こうとしない5人に困ったように笑いながら、店主は5人を見た。

5人は頷く。




「じゃあ、おっちゃんと約束してくれるかな?大きくなっても、ずっと大切にしてくれるって。おっちゃんとの約束が守れるなら、特別にプレゼントしよう」


「うん!守る。大切にする。5人でずっと身に付けてるよ」


「じゃあ、あげよう」



店主は5人の首に1つずつネックレスを掛けた。



それが未だに5人が肌身はなさず身に付けているネックレスだった。



初めて欲しい物が一致した彼ら。

そのネックレスが宝物であるのは、あの頃から変わらない。






そんな懐かしい事を思い出しながら、露店を眺めるイノリとキヨ。



「これ可愛い」



キヨはビーズで出来た指輪を手に取った。




「彼氏さん、彼女さんへのプレゼントにどうですか?それカップルに人気あるんですよ」



アクセサリーを売っている商人がそう言うと、2人は赤くなって首を振った。




「カップルじゃないです!ただの幼なじみです」

「否定したって見ればわかっちゃいますよ。こんなにお似合いだから」



キヨが商人と話していると、イノリはキヨが気に入っていた指輪を手に取った。



「いくらだ?」

「え?イノリ?」

「買ってやる。…文句あんのか」



キヨが赤くなって首を振ると、イノリは指輪を購入した。





「お幸せに」


商人は去っていくキヨとイノリの背中に呟いた。