祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

するとキヨの視界にある店が映った。



「イノリ!あれ、あれ」



キヨが指差しているのは、手作りアクセサリーを売っている露店。


2人は露店の前に屈むとアクセサリーを眺めた。



「昔、ここの神社の夏祭りに初めて5人だけで来た時、こういう露店でこのネックレス買ったんだよね」

「ああ、未だ愛用してるこれな」



キヨとイノリは首に下がる5人お揃いのネックレスを触る。





それは小学校1年生の夏休み。

初めて5人だけで夏祭りを訪れた時の事。



人込みに揉まれながら、はぐれないように手を繋いで歩く5人。




「あれ?カゼは!?」

「りんご飴買いに行ったわよ」

「カゼは本当に自由人だな。いっつもフラフラとどっか行く割に迷子にならないのが不思議だよ」



4人がカゼを待っていると、沢山の食べ物を抱えたカゼが戻ってきた。


ケンは黙々と食べているカゼを見て呟いた。




「カゼ、それ7歳が食べる量じゃないよ。大きくなったら太るよ?」

「………大丈夫。動いてるから」

「てか、ケンはカゼ見習った方がいいよ?ケン、全然食べないから大きくなれないよ」

「キヨよりは大きいもんね」



ケンがキヨの頭をポンポンと叩くと、キヨは顔を膨らませてイノリの後ろに隠れた。



「おい、ケン。あんまキヨからかうと殴るぞ」

「何だよ、もう!イノリはキヨを独り占めしすぎだよ!!ずっと手繋いでるし」



ケンがイノリからキヨの手を離し掴むと、キヨはケンの股間を蹴飛ばしてイノリに抱きついた。


悶絶するケンの腰をテンテンと叩くカゼ。




「………ケン、キヨはイノリにしか甘えないよ」

「うぅっ…キヨ酷いよ〜」



騒いでいた5人は暫く歩いていると、ある露店の前で足を止めた。


その露店には、手作りの指輪やネックレス、ブローチなどのアクセサリーが沢山並べられている。



5人は黒い紐に吊された合金の輪っかのネックレスを見つめた。




趣味や好みがまるっきり違う5人。


しかし何故かこの時だけは同じこのネックレスを気に入ったのだった。