祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

騒がしい夏休みを毎日共に過ごす5人。


待ちに待った夏祭りの夜になり、浴衣を着た5人は祭りが催されている近くの神社を訪れた。



「わーい。焼きトウモロコシ食べたい」

「キヨはトウモロコシ好きだよな。だからコーンみたいにちっこいのか」

「そんなワケないでしょ!!イノリのバカ!!」



キヨがイノリを叩くと、イノリはその手を握った。




「ちびっ子は迷子にならないように、ちゃんとパパの手を握ってなさい」

「…イノリがパパなんて嫌」



キヨは文句を言いながらも、大きなイノリの手を握り返した。


カゼとカンナも寄り添いながら歩き、ケンは携帯のカメラで色んな物を撮っている。



太鼓や笛の音、そして人々の声が響く祭り。




小さい頃から毎年来ている祭りだが、毎年雰囲気が違う。

それは祭りなのか、5人の成長なのかはわからない。




毎年大きくなるイノリの手を感じるキヨ。


それと比例するように

毎年増していくイノリへの想い。




キヨはイノリの広い背中を見つめると、いつの間にこんなに大きくなったんだろうと思った。


小さい頃は自分とさほど変わらなかったのに。




「キヨ、どうした?さっきから背中に殺気を感じるけど」

「殺気って失礼ね!!…いや、イノリ大きくなったなぁって思って」

「当たり前だろ。もういい大人だぞ?……まぁキヨは大人になっても小せぇけどな」



イノリはイタズラな笑みを浮かべると、キヨの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。