祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「もーっ!どこ行ってたのさ!!心配したじゃん………って、2人共どうしたの?怪我してるけど」



ケンはキヨとカゼを見る。


イノリとカンナも心配そうに2人を見つめた。





「あっ…えっとね、カゼとハシャいでたら土手に落ちちゃって。…ね?カゼ」



キヨがカゼを見ると、カゼは頷いた。




「ふーん。2人はおバカだなぁ」


ケンは納得するとシートを畳み始めた。



日が暮れ、風が冷たくなってきたので5人は帰る事にした。




自転車に乗って来た道を走っている5人。

そこに風が桜を運んできた。





桜吹雪に包まれながら畦道を走り、家路を目指す5人。


自転車の心地良い振動にキヨとカンナは、イノリとカゼの背中に寄りかかり眠った。




「キヨ、着いたぞ」



家に着いた5人。

イノリはキヨを起こすが、キヨは起きない。



イノリはキヨを抱き上げると、キヨの部屋へと運ぶ。




キヨをそっとベッドに寝かすと、イノリは赤く腫れたキヨの頬を撫でた。



「…俺に嘘ついても無駄だ。何があったかは聞かないけど無茶するなよ」

「ん…イノリ…」



キヨの寝言を聞いたイノリは微笑むと、キヨの額にキスを落とした。




「また握り飯作れよな。食ってやるから。……でも中身は変えてくれ」



イノリはそう呟くとキヨの部屋を後にした。





それはある春の出来事。