祈りのいらない世界で〜幼なじみの５人〜【実話】

「ひっく…痛いよぉ…っ!!イノリ…イノリぃぃ…」



キヨがうずくまりながら泣いていると、茂みから物音が聞こえてきた。


段々とキヨに近づいてくる音。




「やだぁぁぁ！来ないで!!」



キヨが青ざめながら泣き叫ぶと、体に葉っぱを沢山つけたイノリが茂みから出てきた。




「やっと見つけた！お前っなんでこんな所にいるんだよ!!」



イノリはキヨに近づくと、キヨの顔を覗いた。




「もう恐くない。俺がいるから大丈夫だよ」

「…イノリ〜っ！うぁぁぁん!!」



キヨがイノリに抱きつくと、イノリはキヨの頭を撫で始めた。




「お前足から血出てるぞ。歩けるか？」

「…うぇぇっ…！痛いから無理」

「仕方ねぇな。おんぶしてやるから乗れ」



イノリが屈み、キヨに向かって背中を突き出すとキヨは鼻を啜ってイノリの背中に乗った。


イノリはキヨが乗ったのを確認すると、立ち上がり歩き出す。