「カゼ、それは誉めてるの?」

「………うん。キヨをけなしたりしない」



カゼはそう言うと、屋台から香る食べ物の匂いに誘われて、フラフラと何処かに行ってしまった。




「どっか座るか。ケン、場所探せ」

「はいよ。シートも持ってきたしね」



イノリに命令されたケンは、きょろきょろと辺りを見渡すとある一角を指差した。



「あそこなら5人座れそう」



キヨ達がケンの指差す方を見ると、まだ満開ではない寂しい桜の下に小さなスペースがあった。


満開の桜の下はもうすでに他の人達に取られている。




「…仕方ないわね。あそこで我慢しましょうか」

「だね。桜は桜だしいっか」



4人は桜の下にシートを広げると靴を脱いでシートの上に座った。



そよそよと風が吹き抜ける。