時は流れる。
春夏秋冬を何度も繰り返しながら…。



過ぎゆく季節は、人も街も変えてしまう。

流れる時間は永遠だから止める事も出来ず、ただ従うだけ。




そんな世界の中で

変わらないものもあるのだと

私は思った。






〜回想編・春〜







「キヨ〜、花見行くぞ」



5人は桜が咲き誇る春になると、幼稚園の頃から5人だけで毎年花見に出掛けていた。


高校生になった今でも、その習慣は欠かさない。




キヨを迎えに来た4人の元に、寝癖が付いたままキヨが家から出て来た。



「ごめんね。寝坊しちゃった」

「ったく。早くしないと場所なくなるぞ」




5人はカゼとカンナ、イノリとキヨが自転車に2人乗りをしながら花見祭りをしている場所へと向かった。



満開の桜が咲いているその場所は沢山の人で賑わっている。


自転車を指定の場所に止めると、5人は屋台の並ぶ桜道を歩いた。



「わぁ…。綺麗」

「一面ピンクね」



キヨとカンナが寄り添いながら舞い落ちる桜を見上げていると、カゼが寝癖ではねているキヨの後ろ髪に触った。




「………寝癖に花びらが絡まってる」

「え!?寝癖!?やだ、気づかなかった」

「………大丈夫。キヨらしい」




カゼはキヨの寝癖をポンっと叩くと、コクっと頷いた。