「カンナもやっと幸せになれたのに…こんなのって…あんまりだよっ!!」



星のない暗い空は、悲しみを表しているようだった。





「カゼを生き返らせて!…お願いだからっ…カゼを生き返して!!お願いっ……誰か…」



キヨの願いは星に届くはずもなく

虚しく空に消えた。








その頃。

倉木家にはカゼの遺影を虚ろな目で見つめるカンナがいた。


そんなカンナをカゼの両親が見つめる。




息子2人を亡くし、悲しみにくれている倉木家に美咲が訪ねてきた。




「お久しぶりです。お義父さん、お義母さん」


「美咲ちゃん。来てくれたのね」


「はい。海との事で何かあると必ず、風は私を励ましてくれましたから…。ちゃんとお礼を言いたくて」



美咲はカンナが座っているカゼの遺骨が置かれている所に歩み寄った。




「…あなたは確か…。風の彼女さんですね?」



美咲がカンナに話し掛けると、カンナはゆっくり顔をあげる。


カンナは美咲の姿を目に映すと目を見開き、美咲の服を掴んだ。




「きゃっ…なんですか!?」


「あんたのせいよ!あんたがいたからカゼは………あんたがカゼを殺したのよ!!返して…私のカゼを返してよぉぉぉ!!!!」



美咲の服を掴みながら嗚咽をし出したカンナ。


カゼの両親は、カンナを美咲から離すと優しく背中を撫でた。




「かんなちゃん。誰のせいでもないのよ。風の生きる時間があの日までって決められてただけなの。だから誰も悪くない」



カゼの母は、カンナの嗚咽が治まるまで優しくカンナを宥め続けた。