星が見えない。
雲が多くて星が見えない。


明日はきっと雨が降るのだろう…




「キヨ、ここにいたんだ」

「…ケン」



カゼの通夜が終わり、キヨは昔カゼと一緒に星を見ていた場所で、夜空を見上げていた。




「…ケン、カンナは?」

「泣きもせずにずっとカゼの遺影の前に座ってる」

「…そっか」



ケンはキヨの前に立つ。


キヨは静かに涙を流していた。





「カゼはさ、無口でポーカーフェイスで何考えてるかわからなかったよね」

「そうだな。物事に無関心だったし」

「…っ…でもっ!優しかった…いつも優しくて…。…ねぇ、誰がこんな結末を望んだの?どうしてカゼが死ななきゃならないの!?どうして…どうしてよぉぉぉ!!」



キヨは泣き叫びながらケンの胸に寄りかかる。


ケンも涙を流しながら、キヨをキツく抱きしめた。





いきなり消えた存在。


当たり前のように共に生きてきた家族同然の存在が、突然この世を去った。

誰に想像が出来ただろうか。




カゼが死んだ事を頭ではわかっているのに、まだ信じられない気持ちでいるキヨ。



思い出したくないカゼとの行為さえ、今では愛しくて仕方がなかった。