「ねぇ…死ぬってどんな感じなのかな。死んだら今ここにいる私は何処に行っちゃうの?」



キヨは目を擦りながら呟く。




「寝てる時と同じ感覚なのかな?ただ目が覚めないだけで。
幸せな夢を見ながら死んだらそれが天国で、恐い夢を見たまま死んだらそれが地獄って事?

カゼは…ちゃんといい夢を見れたのかな?」



「よくそんな事思いついたな。普通なら天国と地獄のどっちかに行くと思うものだと思うけどな」


「そうだね、天国に行けたら生まれ変われるとか」



イノリとケンは空を見ながら呟く。





「天国や生まれ変わりなんて誰かが作った気休めに過ぎない。

だって死んだ後の事は誰にも聞けないし、絶対生まれ変われる保障もない。

例え生まれ変われたとしても、今のこの私の記憶が残ってるとは限らない。だって私に前世の記憶なんてないもの。

…だから信じない。


だけど、カゼが今すぐ生まれ変わってきてくれたら…って思うよ。それか私達みんなが死んだ後も、また何度も5人幼なじみで生まれてきたい…。」



キヨの儚い願いを聞いていたイノリとカンナとケン。






この世に忘れられてしまうから輪廻転生って言葉があるのかもしれない。


自分を覚えていてくれる人も、いずれはいなくなってしまうからまた生まれてくるのかもしれない。



でもそれは新しい人間であって、今の自分ではない。





不確かな迷信は、ただの綺麗事にしか過ぎない。


それでも時として人間には気休めが必要となる。





残酷過ぎる現実に
光を与える為に……