よく晴れた日だった。


雲ひとつなく青い空が一面に広がる快晴。



青が好きなカゼに似合う空色。

今日はカゼの葬儀の日。





カンナは真っ赤に腫れた目で棺桶に眠るカゼを見つめながら、カゼの首に5人お揃いのネックレスを掛けた。



「…綺麗な顔。剥製にしてずっと抱き締めていたいわ。それか私も…このまま一緒に焼かれたい…」

「よせ、カンナ」



虚ろな瞳でカゼを見つめるカンナにイノリが呟く。




「…カゼ、いつものように『………はよ。』って言って起きてよ。…ねぇってば。いつまで寝てるのよ…」


「…カンナ。カゼは疲れてるんだよ。だから…そっとしといてあげよう?」



冷たいカゼの体を揺さぶるカンナの腕に寄り添うキヨ。


カンナはキヨの肩に顔を埋めると、小さく震え始めた。




暫くしてカゼの棺桶をボイラー室に運ぶ為、外に出る一同。


カゼのサークル仲間や親族が涙を流す中、キヨ達4人はずっと空を眺めていた。




葬儀に参列した5人の両親達が4人に声を掛けるが、4人は空から目を離さなかった。




空を見上げていると、キヨ達の視界には煙が入ってきた。


煙が流れてくる方を見ると、そこにはカゼの両親や美咲がいた。




…そう、まさに今、カゼの身体が焼かれていたのだった。





いつも優しく差し伸べてくれた華奢で大きな手
いつも何かを頬張っていた口
的確な言葉を紡いでくれた声
長い睫毛の綺麗な瞳
容姿端麗な身体



カゼという1つの存在…







当たり前にそばにいた彼を形作る物全てが今、この世から消されていた。