「カンナ、帰ろう。カゼの葬儀は地元でするみたいだから、帰る準備しないと」

「…帰らない。私はここで死ぬの」




カンナがそう呟くとケンはカンナの頬を叩き、カンナを抱き上げた。




「降ろして!ケン降ろしてよ!!」


「嫌だ。カンナはバカだよ。カゼがそんな事望んでるとでも思ってるの?あいつは…カンナに後を追って欲しいなんて思ってないよ。それはカンナが1番わかってるんじゃないのか?」




ケンの言葉を聞いたカンナは、ケンの肩に顔を埋めた。




「…私が辛いの。カゼがいなくなったこれからを生きていくのが辛いのっ…!!」




俺がカゼだったら愛する人に後を追って欲しいと願うだろう。



俺がいなくなった後、その人が俺を思い出に変え、他の男と結婚して子どもを作って笑っているのは悲しいから。


本当は俺がいるはずなのに…


そう思うから。





でもカゼはそんな心の狭い男じゃない。

カンナが他の誰かと幸せになる事を願っているはずだ。




だから…

俺がカンナのそばにいてあげるしかないんだ…







ケンはそんな事を想いながらカンナを抱きかかえ、家へと帰宅した。