「じゃあ…どこにいるの?」

「もう、いないんだよ。…カンナだって分かってるだろ」



ケンは力が抜けその場にへたり込むカンナの背中を撫でると、水が滴るズボンから携帯を取り出しカンナに握らせた。




「…警察の人から受け取ったんだ。カゼの携帯だよ。…カゼは死んでもなお、合鍵を固く握ってたんだって」



カンナは手のひらに乗せられたカゼの携帯を開いた。



カゼは、5人で撮ったプリクラの画像を待ち受けにしていた。




画面に映る無表情の大好きな人。


もう、現実では見る事の出来ない姿。





カンナはカゼの携帯を握り締めると、体を震わせながら再び嗚咽を始めた。




確かに消えてしまったカゼの存在を感じたカンナ。

そんなカンナをケンは強く抱きしめた。






これからは誰がカンナを守るの?
誰がカンナを抱きしめるの?
誰がカンナを愛するの?




カゼ…

お前はどんな想いでこの世から去った?







ケンはそんな事を想いながらカンナを抱きしめていた。