キヨ、ケン、イノリ。

そしてカンナは


真っ白な顔をしたピクリとも動かないカゼの前に立っていた。





ただ眠っているだけにも見えるカゼ。

しかし、その体は冷たく生を感じない。




突然の出来事に4人は涙を流す事さえ出来なかった。




「…綺麗な顔」



カンナは病院の白いベッドに眠るカゼの頬を触ると、そう呟いた。



凛々しく綺麗な整った顔立ちのカゼ。


このまま焼かれてしまうには勿体ない。






カゼは本当にもう、目を覚まさないの?

寝ているだけじゃないの?



だって目の前にいるカゼは事故にあったなんて嘘かのように、綺麗な顔をしているよ?




それに今日、朝会った時いつものように

「………はよ」

って言ってくれた。




いつもの口調で
いつもの声で

いつもと何も変わらないカゼがいたのに…。





これは夢だよね?
こんなの嘘だよね?


こんなのやだ…


いやだぁぁぁぁ!!!!






「…キヨ、もう見るな」



震えるキヨの目を後ろから片手で塞ぐイノリ。




「キヨ、イノリ。俺らは外にいよう」



ケンに促されたキヨとイノリはカンナを残し、ケンと共に病室を出た。



キヨ達が病室の外にいると、中からカンナの嗚咽が聞こえてきた。




やっと掴んだ幸せを、こんな形で失うとは思ってもいなかったカンナ。


カンナの涙は冷たいカゼの白い頬に降り注いでいた。