「おい!しっかりしろ。救急車来たぞ!!」



心配した人がカゼを揺する。


揺すられたカゼはハンドルに顔を倒した。




辺りにクラクションの音が鳴り響く。


まるでカゼが風になった事を知らせるかのように…。






「…ダメだ。もう…死んでる」




目を薄く開いたまま、携帯に繋がっている合鍵を握り、冷たくなったカゼに気付いた歩行者が呟く。




あんなに肌身はなさず身につけていた5人お揃いのネックレスは紐が切れてカゼの首から外れ


足元に落ちた……






救急車のサイレンと街行く人の声が響く街に、柔らかい風が吹き抜けた。






「…カゼ遅いね。どっか寄り道してるのかな?」

「カゼはマイペースだからね」



カゼの帰りをリビングで待っている3人。


すると、遠くで救急車の音が聞こえてきた。





「救急車だ。何かあったのかな?」

「事故かしらね」




特に気に留めなかった3人。




数時間後、警察からカゼの携帯で電話が掛かって来るとも思わないまま…。