「やだっ…カゼ――!!!!」



殴り合う音が聞こえ、殴られるカゼを見たくないカンナは目を反らす。



暫くすると騒ぐ声が止み、バイクの音が聞こえてきた。




カンナが顔をあげると、ヤンキー達が乗ったバイクのテールランプが遠ざかって行くのが見えた。




「え?カゼ!?…大丈夫なの?」



カンナがカゼを見ると、頬が赤くなってはいるが目立った怪我のないカゼが投げた袋を拾っていた。





「………うん、大丈夫。兄貴とよく殴り合いの喧嘩してたから何気に強いみたい。イノリに比べたら弱いけど」


「よかったぁ…カゼが死んじゃったらどうしようって思った…」


「………死なないよ。カンナを置いて」




カゼがそう呟くと、カンナはカゼに歩み寄りキスをした。


いきなりの事に驚いたカゼだったが、目をゆっくり閉じカンナの腰に手を回した。








時間が止まればいいとカンナは思った。







本当に…

止まればよかった。