祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

殴られると思いキヨが目を瞑ると聞き慣れた声がした。



「人の女に傷付けんじゃねぇよ」



キヨが目を開けると、そこには振り上げた男の腕をギリギリと握るイノリが立っていた。




「イノリ!?」



イノリはキヨが震えているのに気付くと目の色を変え、男を無我夢中に殴り続けた。




「…っ!イノリやめて!!もういいからっ…!!」

「よくない!キヨに手出しやがって!!テメーぶっ殺してやる」




イノリはうずくまる男を踏みつけると、思いっきり蹴飛ばした。




「…はぁはぁっ…やめてくれ!!もう…近づかねぇからっ…」

「まだだ。こんなもんじゃ済まねぇ」




目が血走っているイノリは男の胸倉を掴み、腕を振り上げる。


キヨはその腕を掴み、イノリを止めた。




「…ひっ…こんな恐いイノリやだ…。だからやめて…」



キヨは掴んでいるイノリの腕に顔を伏せると、泣き始めた。




「……泣くな。もうしねぇよ」




イノリが男から手を離すと、男は立ち上がり逃げて行った。