祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

その日の夜。

ジュースで乾杯をした5人は、思い出話やこれからの事について話した。




片付けを終え、風呂に入った5人は各部屋で就寝の準備をしながら、上京初日の夜を過ごしていた。



そんな寝静まった家に、ノックの音が響く。




「…イノリ」

「ん〜…何だよ。まだ起きてたのか…」




イノリの部屋に訪れたキヨは、ベッドで眠るイノリを揺する。


イノリは眠たそうに目を擦ると起き上がった。




「…何、環境変わったから眠れないとか修学旅行生みたいな事言うなよ」


「……寂しくて寝れないの」




キヨがそう呟くと、イノリは頭を掻きながら息を吐いた。





「んな事だと思った。仕方ねぇな。ほら、来いよ」



イノリはベッドの隅に移動し、毛布を広げる。


キヨは嬉しそうに微笑むとイノリのベッドの中に潜り込んだ。




「イノリの匂いだぁ…安心する」

「はいはい。早く寝ろよ」



その日2人は狭いベッドの上で寄り添って眠った。




キヨは何があっても、昔と同じようにイノリがそばにいてくれれば生きていけると思った。

この存在さえ失わなければ…。




過去も今も一緒にいる存在。

これから歩む未来も一緒にいて欲しい。



イノリだけじゃなく、カンナとカゼ、そしてケンも。



キヨはそう思った。