祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

イノリとキヨは、なんだと言ったようにため息をついた。




「お兄さんの奥さんか。綺麗な人だったね」

「………うん、そうだね」

「あれ?でもお前の兄貴って俺らの地元の町役場の職員だろ。なんで奥さんが都内にいんだ?」




イノリの疑問にカゼは答えなかった。





「キヨ達、早く支度しないと遅刻するよ」

「はーい!今行くよ」



カンナの声にキヨとイノリは風呂場から出て行った。



1人になった洗面所でカゼは鏡に映る自分を見つめると、鏡を殴りつけた。





「カゼ、何かを隠してるみたいだったね」


「まぁ…あいつが話したくないなら無理には聞かねぇけど」


「そうだね。1人じゃどうにもならないなら話してくれるだろうし。そんなに心配しなくても平気か!」




キヨとイノリは納得すると支度をしに自室へと向かった。