祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「カゼ〜…どうしたら好きな子とヤれるのか教えて〜」


「…………は?」




ケンは放課後、部活に行こうとするカゼのサッカー部のロゴが入ったエナメルバックを掴み引き止めると、そう嘆いた。



こんな田舎町では珍しいほど顔が整っているカゼは、自分の学校はもちろん、他校の生徒からもモテる。



その為、中2であるにも関わらずカゼは既に童貞を卒業していた。


そんなカゼに助言を求めるケン。





「俺、キヨとヤりたくて仕方ないんだよ。でもキヨはきっと俺をそういう対象で見てないから」


「………キヨとするのは難しい」


「だよね…。はぁ〜こんなに好きなのになぁ」


「………キヨの何が好き?可愛いとこ?癒し系なとこ?危なっかしいとこ?」




ケンはカゼの問いにニカっと笑うと答えた。





「よく笑うとこ♪」

「………イノリと正反対だな」

「え?イノリ?」

「………イノリは泣き虫だからって言ってた。SとMの違いかな」




カゼは勝手に納得すると、スパイクを持って部室へと向かった。