祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

何やら楽しそうに笑いながら食べるキヨとイノリの隣で、無言でトウモロコシを黙々と食べているカゼ。


カンナはそんなカゼを見つめた。




カンナにとってカゼは、キヨにとってのイノリのような存在であり、物心ついた頃からカゼだけを見ていた。



いつもそばにいる綺麗な顔の男の子。

無口で無表情だけど、正義感が強く優しいカゼ。



特に何を話すわけではないけど、カンナはカゼの隣にいるのが心地良かった。




「………何?顔に何かついてる?」




カンナの視線に気づいたカゼは、カンナを見る。




「う…ううん!!何でもないわよ。美味しそうに食べるなぁって思って」

「………うん。美味しいよ」




カゼはトウモロコシの芯をくわえながら、コクっと頷いた。