祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

「イノリ〜♪こっちこっち」



暫くして店に入ってきたイノリを手を振ってケンが呼ぶ。




「イノっちぃぃ〜♪♪」

「離せ、気持ちわりぃな!もう酔ってんのか、ケンは」

「………久しぶり」

「元気だった?イノリ、大学でも講義一緒に受けなくなったから、こうしてちゃんと会うのは久しぶりね」

「あぁ元気だよ。久しぶり」




イノリは絡みつくケンを引き剥がし席に座ると、カゼとカンナを見る。





「…キヨも久しぶりだな」

「う…うん。何か見ない間に凄く大人っぽくなったね、イノリ」

「そうか?自分ではわかんねぇ」




少しぎこちないイノリとキヨ。


そんな2人を気遣ったケンはイノリにグラスを渡す。




「イノリも来た事だし、もう一回乾杯しようよ」

「そうね、久しぶりのメンツに乾杯しましょうか」




5人はグラスを掲げると乾杯をした。

グラスが重なる音が響く。




その音は新しく何かが始まる音のように聞こえた。