暫くすると、前座のバンドの演奏が終わりライブハウスの中は歓声に包まれる。



「わっ!ケンのバンドだよ。早く前に行かないと」



キヨはカンナとカゼの手を引っ張り、ステージの前に駆け寄った。


盛大な歓声と黄色い声が飛ぶとステージにケンとバンドメンバーが現れ、定位置にスタンバイする。




「キャー!ケン―!!」



キヨ達の後ろにいる女の子達がケンに向かって声援を送ると、キヨは顔を膨らませた。




「何妬いてるのよ」



カンナは膨れているキヨの頬を笑いながら突っついた。




「………大丈夫。ケンはキヨしか見てないから」




会場が静まると、ドラム担当のメンバーがバチを鳴らし演奏が始まる。



ボーカルであるケンはマイクを握ると、弾みながら爆音に合わせて歌い始める。




メイクをしてステージに立つケンにキヨは胸をときめかしていた。



キヨがケンを見つめているとケンはキヨにウィンクを飛ばす。




「あらら。お熱い事で」

「やめてよ!私とケンはまだそういう関係じゃないし」




まだ正式に付き合っているわけではないキヨとケン。


しかしキヨがケンに惹かれつつあるのは事実。