キヨを見たカンナは、キヨに駆け寄り抱き付く。




「キヨっ…!カゼから聞いたわ。イノリと同じ気持ちを味わいたいなんて思う程辛かったのね。妊娠や流産までしてたなんて…何も気付いてあげられなくてごめんね。でももう大丈夫」


「カンナ?怒ってないの?私、カゼと…」


「怒るわけないよ。キヨは私の大切な人だもの。それは昔から変わらないわ」




カンナの言葉を聞いたキヨは、震える手でカンナの服を掴みカンナにすり寄った。





「カンナ…私ねっ……イノリを許してあげたよ。イノリはきっと誰かに“もう、いいよ”って許して貰わなきゃ苦しみ続ける。もう…苦しんで欲しくないから、私も苦しみたくないから…さよならしたの」


「よく…頑張ったね、キヨ」


「ああああああああ!!!!辛いよぉ…悲しいよぉぉ!!!!好き過ぎて苦しいよぉぉ!!何があっても、離れていても報われなくても…イノリを好きでいられる強さが欲しかったよぉぉ!!!!うぁぁぁぁん!!!!!!」




キヨはカンナにしがみつきながら大声で泣き叫んだ。


その様子を見つめていたケンとカゼ。






イノリ
イノリイノリイノリ…


本当に大好きだったんだよ。

今でも大好きだよ。





この恋の結末がサヨナラだったなんて悲し過ぎるけど

本当はこうなるって分かっていた。




本当の気持ちを隠して肝心な事を言えないまま

お互いを傷付け合う事しか出来ない私達が結ばれるはずがない。




だから逆にこれでよかったんだよね?



そうだと言ってよ…イノリ。





20年越しの想いを、イノリを救う為に断ち切ったキヨの恋が終わった瞬間を3人は見届けた。




「…帰っておいで、キヨ。ケンと2人で」




5人の日々を綴ったひとつの物語は終わりを迎え、今…

新たな物語が始まった。