「………キヨがイノリと同じ痛みを味わいたがってたから。キヨは途中で止めようとしたけど、俺が止まらなかった」


「バカじゃないの?そんな事したら…キヨもイノリもケンも…私も傷付くのよ!?カゼ…あなたはなんでっ……」



カンナは涙を流しながらカゼの体を何度も叩いた。





「………キヨ、俺との子どもを妊娠したんだよ。でも流産しちゃったんだ。…俺はキヨも子どもも守ってやれなかった…」


「妊娠!?流産!?ちょっと…キヨは大丈夫なの!?なんでそばにいてあげないのよ!」




カンナがカゼを怒鳴ると、カゼは情けない表情をして笑いながら呟いた。





「………キヨはね、俺が犯した罪の償いはカンナといる事だって言ってくれたんだよ。キヨはカンナが大好きだからなぁ…」


「私だってキヨが大好きよ!大切な親友にとんでもない事してくれて……許さないんだから!!一生私といてくれなきゃ許さないんだから!!」


「………うん。一生一緒にいるよ」




カゼはカンナの腕を引っ張ると、優しくその体を抱き寄せた。


誰もいなくなってしまった部屋で静かにひとつの愛が繋がった瞬間だった。





「私達もこの家を出る?2人には広いし、家賃もバカにならないから」


「………そうだね。でも…」


「何?」


「………みんなが帰ってくる気がするんだよね」




カゼの言葉にカンナは頷いた。