祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

キヨが泣く事さえ出来ない程の絶望に襲われていると、ドアをノックする音が響いた。




「………キヨ、入るよ」



部屋に入ってきたのはカゼ。


カゼはカレンダーの前に立ち竦むキヨに歩み寄る。





「………何見てるの?何かあった?」



カゼがキヨの顔を覗くと、キヨの瞳には何も映っていなかった。




「………キヨ?」



心配したカゼがキヨの頬を触ると、キヨの瞳からは涙が次々に零れ落ちてきた。





「………どうしたんだよ。キヨ?話して?」

「カゼには関係ない」

「………キヨが俺を嫌いになるのもわかる。でも俺は昔と変わらずキヨが好きだ。だから心配くらいさせてよ」




カゼはキヨにとって、一番の理解者だった。


口数は少ないけど、いつも的確な事を言ってくれる彼は、いつだってキヨの気持ちを察してくれていた。




でも、あんな行為をしてしまった今。

昔のように接する事など出来るのだろうか…





キヨは確かに出来たカゼとの距離を感じた。


それと同時にカンナとの距離も…