祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

部屋に戻ったキヨがふとカレンダーを見ると、ある事に気がついた。




「……え?…あれ?」




カレンダーに毎月丸印をつけているキヨ。


その印は月経のマークだった。


しかし、先月と先々月のカレンダーを捲ってみても
カゼと体を重ねた日以降、印はついていない。





「…まさか……」



キヨは下腹をさする。




そういえばあの日、勢いでしてしまったからカゼは避妊をしていなかった気がする。



キヨはカゼの部屋へ行こうとドアノブを掴むと、その手を離した。




「…言えない。もし妊娠してても…誰にも言えないよ」




カゼの事が好きなカンナに相談など出来るわけがない。

ケンだっていい加減呆れるはず。



私が頼んでしたこと。

愛情も何もない行為だったのだから、カゼだって妊娠したなんて言われても困ってしまう。



…イノリはいない。





今すぐ誰かに話したい、相談したい、助けてほしいのに誰もいない。


キヨは世界に見離された気持ちになった。





「…っ…どうすれば…いいの?」




恐い…


本当に妊娠してしまっていたら、中絶も出産もする勇気がない。

お金もない。





恐い…


1人じゃ何も出来ないのだと思い知らされそうで恐いよ。