祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

それから暫くして、

新しく住むアパートも決まり、引っ越しの準備も終えたキヨ。


あれから、極力カゼとカンナと顔を合わせないでいた。



そんなある夜、眠っていたキヨは吐き気に襲われ、洗面所に駆けていった。




「…げほっ!!うぇっ……」




いきなり込み上げてきた嘔吐感。


何か変な物でも食べたのかと思ったキヨは、楽になるまで吐き続けた。





「………キヨ?どうしたの?」



トイレに目を覚ましたカゼは、洗面所で吐いているキヨに気付いた。


カゼと気まずいキヨは、無言のまま口を濯ぐと洗面所から出て行こうとする。




「………キヨっ!!」




カゼはキヨの腕を掴む。





「………ごめん。ごめんな」



カゼが悲しそうな顔をして謝ると、キヨはその場にうずくまり再び嘔吐した。





「うっ…!げほっ…げほ!!」

「………!!大丈夫?救急車呼ぼう」

「大丈夫…。寝れば治るよ。……おやすみ」




キヨは立ち上がると胸元をさすりながら部屋へと戻って行った。



カゼは暫く呆然とキヨの後ろ姿を見つめると、キヨの吐いた場所の片付けを始めた。