次の日、学校へ行く為キヨが家から出ると自転車に跨ったイノリが待っていた。



「今日は俺の方が早かったな。カンナ達、先行っちまったぞ」



キヨは無言のまま、イノリの自転車の荷台に座る。


2人は2人乗りで学校に通学している。




「どうした?元気ねぇけど」

「…お姉ちゃんが家出て行くんだって。赤ちゃんが出来たから結婚するって言ってた…」



イノリはその言葉を聞くと自転車から降りた。





「華月、今家にいるか?」

「うん。昨夜から部屋に閉じこもってるよ」

「…悪い。そのチャリ乗ってっていいから先に学校行っててくれ」

「え?イノリは?」

「…後から行く」




イノリはそう言うと、キヨの家へと入って行った。





今思うと、イノリと華月の関係がおかしい事に気づける出来事なんて沢山あったはずだ。




それをイノリは優しいからと片付けていた自分を悔やんだ時


キヨは薄く意識を取り戻した。