――ピピピピピ……。

やかましいアラーム音を止めるべく、目覚まし時計に手を伸ばす。
目を瞑ったまま手探りでボタンを押せば、再び静かになった空間を自分の唸り声が揺らした。


「……またあの夢だったなぁ……」


薄っすらと瞼を開けて、しゃがれた声で呟く。

あの夢――ぼやけた世界で知らない少年から、毎回同じセリフを言われる夢だ。
私はあまり夢を見ない、というか覚えていない方だと思っているけど、時々記憶に残っている夢は大半があの内容だった。

まるでDVDに録画された動画を、繰り返し再生しているんじゃないかってほど、毎回同じ映像であることには私自身驚愕している。
これはもう、私の脳裏にこびりついて離れなくなっちゃっているに違いない。
後味悪い悪夢じゃないから別に良いんだけどさ。