「王子様と付き合うことになりました!」


翌日昼休み。
昨日の今日というトントン拍子な展開の報告に、理沙ちゃんとよもぎちゃんはやっぱり顔を見合わせている。
ぱちぱちと数回瞬きをする理沙ちゃんの箸から、タコさんウインナーが落ちた。
小鳥のように首を傾げたよもぎちゃんが口を開く。


「もしかして昨日言ってた好きな人となの?」
「イエス!」
「おいおい、展開早過ぎだろ」


改めてウインナーを口に運んだ理沙ちゃんは、半ば呆れた様子。
それは私も十分承知していることだけど、恋とは予期せぬところで報われるものなのだと、昨日学んだばかりの身としては返答しづらかった。

こうならなければ本来、今日はお弁当を食べたあとに理沙ちゃんと三年の教室を回る予定だったのだ。
助太刀することが生き甲斐な理沙ちゃんとしては、私の恋を成就させるに辺り、そのイベント自体省かれてしまったことをつまらなく思っているのかもしれない。