「なあ」
「はい?」
「今彼氏とかいんの?」
「いるように見えます?」
「見えないこともない」
「あはは。残念ながらいない、です」


自嘲気味に苦笑いしてみせる。
彼氏いない歴イコール年齢であることも補足しようか迷って、虚しくなるからやめた。
私は引き続きほんのり苺味の風味を味わう。


「――じゃあさ、」


そしたら和泉川先輩がとんでもないことを口にしたものだから、アイスをすくったスプーンを地面に落としてしまった。

ああ、勿体無い。
しかしそれよりも衝撃的なことがあったのだから仕方がなかったのだ。


「俺の彼女になれよ」


幻聴かと疑うようなセリフ。でも確かに耳元でそう囁かれた。一字一句間違いない。
これはもう自惚れてもバチは当たらないのでは?