実を言うと、あれだけ素直に喜んでいた割には半信半疑な部分もあったりなんかして、和泉川先輩の言葉を証明するには、時間の経過を待つしかなかった。
第三者である大樹先輩から、あれ以来和泉川先輩が女遊びをしている様子が窺えなくなったという情報を得たけど、陰で動いている可能性は無きにしも非ずである。

要するに、口ではなんとでも言えるということだ。
とまあ、和泉川先輩に対してはまだまだ疑念を強めている私なのであった。


「では体育祭個人競技の出場者はこれで決定にして良いですかー?」


クラス委員長の確認の声に、「ほーい」とか「うーっす」などと適当に返事をするクラスメイト達。
現在、二週間後に行われる体育祭の出場競技を決めるホームルームの最中である。

我が校の体育祭は、強制参加の団体戦の他は各自二種目好きな競技を選択する方式になっていて、私は100メートル走と障害物競走を選んだ。
大縄跳びや百足リレーなど下手な競技に回される前にすかさず立候補したわけだけど、それなりに無難な種目だと思いたい。
個人種目は人に迷惑かけることもないだろうしね。