私の記憶が正しければ、初めてこの夢を見たのは幼稚園の頃。
体調不良で入院していたため、静まり返った病室で寝ている時のことだった。
幼稚園に通っていた頃の記憶のほとんどが曖昧な私にとって、これは胸に深く刻まれた最古の言葉とも言えよう。

考えてみれば、シンデレラ然り白雪姫然り眠れる森の美女然り、童話のヒロインには王子様の存在が多く見受けられる。
中には悲劇の道を歩んでしまった人魚姫もいるけれど、ほとんどがハッピーエンドを迎えているのはご存知のことだろう。

よって、結末はどうであれ、あの「女の子はみんな、この世に生まれた時から誰かのお姫様」という言葉は本物なのだ。
お母さんにとっての王子様は当然お父さんだし、おばあちゃんにとっての王子様はもちろんおじいちゃん。
それからカップルの彼女さんにとっての王子様が隣にいる彼氏さんで、そのへんを歩いている女性は今は一人に見えるけど、必ずどこかに王子様的存在の人が存在しているはず、と理論である。

そう確信めいたものを抱いたのが小学三年生辺りだった気がする。
これを機に、今まで本能的であった私の夢見がち思考に、拍車が掛かりはじめた。