「あの、和泉川先輩」
「彰って呼べよ」
「いや、そうじゃなくて、」
「愛生……」


鼓膜がとろけてしまうような囁きに、全身の力が吸い取られてしまいそう。
流されるがままに身を委ねてしまえば、私はもう清らかではいられなくなるのだろうか。

女の人は押しに弱いって心理学を前にテレビで見たことがあるけど、所詮私もその典型的な女性の中の一人に過ぎなくて。
それこそこんなカッコイイ人に迫られちゃ、抵抗も儘ならないわけだ。
私の貞操の危機もそうだけど、このままじゃ明日のテストがどうなるかも大いに心配である。
半ば諦めモードに突入した私が瞼を閉じた瞬間、