――いつからか、幾度となく同じ夢を見るようになった。

全ての輪郭がおぼろげに映る不明瞭な空間。
幼い私は頭にキラキラ光る何かをつけている。

辺りを見回せば真っ白な世界が広がっていて。
霧がかかったように視界が不安定だけれど、向こう側から誰かの声が聞えてくるのが分かる。

しばらくして、その声の主と思われる男の子が私のもとにやってきた。
手には長い何かを握っていて、背中には布らしきものが確認できる。
何もかもが漠然としている世界。
そしてのっぺらぼうのように顔が見えない男の子は決まってこう言うのだ。


「女の子はみんな、この世に生まれた時から誰かのお姫様なんだ。だから愛生の前にも、いつか必ず素敵な王子様が現れるよ」