この前香坂先生のことを「厚化粧年増」と笑っていたヤネンが、いつの間にか背後に立っていた香坂先生からその術を食らい、そのままプロレス技に持ち込まれていたことがあった。
あの時のヤネンによる断末魔の叫びは、地味にトラウマになっている。


「おーい、ドリンク追加で作ってきてくれー」
「はーい!」


話が逸れたけど、そういうわけで私は引き続きバスケ部の一員として部活に励みつつ、学業はぼちぼち、尚も和泉川先輩からボロ雑巾のようにぞんざいな扱いを受ける生活を送っていた。

和泉川先輩が部活を引退したことで、一緒に下校する機会が減ったのは喜ぶべきことなのか否か。
それをハッキリさせることができなくても、和泉川先輩を乗せたまま緩い坂道を自転車で登ったあとの、達成感や筋肉痛がちょっぴり恋しい。
なんて感じてしまう辺り、私の感性が麻痺しているのは認めざるを得ない事実だ。