「もぉー!なんで起こしてくれなかったのー!?」


そしてこのザマですよ。

二度寝を決行した私は結局夢の続きを拝むこともなく、こうして朝からドタバタするハメになってしまったのだ。
洗面台の前で身支度をしながら喚く私に、お母さんが困ったように言う。


「何度も起こしたわよ。愛生が起きなかったのが悪いんでしょ」
「だーかーらー、それ私が起きるまでは起こしたって言わないじゃんかぁー!」
「つべこべ言わず早く行きなさい。遅刻するわよ」
「うあああ~、行ってきまぁーす!」


テーブルの上にあった朝食のクロワッサンを掠め取るように手にし、玄関へ一目散。
脱ぎ捨ててあったローファーに両足を突っ込み、私は勢い良く家を飛び出した。