ようこそゲストさん
待ち合わせ場所に行くと、彼女はすでに待っていた。
マフラーも手袋も完全装備してるのに、鼻の頭を赤くしている。
「ごめん、遅れた」
後ろからハグをすると、彼女は俺を見上げ、嬉しそうに頬を緩めた。
それから彼女は手袋を外し、俺の右手を握った。
俺は流れるようにその手をポケットに入れる。
隣を歩く彼女は、息を吐いてはそれが白くなることを楽しんでいる。
「冬、好きなの?」
俺が聞くと、彼女は空いている手の人差し指を頬に当てた。
「寒いのは苦手だけど、君と手を繋いで引っつけるから、嫌いじゃないよ」
彼女はさらに俺の腕に引っ付いた。
そしてまた、白い息を吐く。
だけど、ときどきそれは白くならず、彼女はつまらなそうに頬を膨らませる。
そうやって素直に俺といられることが嬉しいと言ってくれる君も、無邪気に息で遊んでしまう君も、たまらなく愛おしく思うよ。