そしてまた数分後。
篠崎は道路沿いに建つ小さな本屋の前で足を止めた。
誰かを待つように、そのまま入口横の柱にもたれてスマホをいじり始める。
「……ん?」
彼は確か、バスケ部所属のはず。本なんて読むのだろうか。まだ高校二年生で、まだ受験生ではないし、参考書を買うほどガリ勉でもない。
自分の知ってるスポーツ少年の姿と、本屋の前に立つ姿が、ナゴミの中で一致しなかった。
(……まさか!)
有り得そうであって、有り得なさそうな推測が、頭の中に浮かぶ。
四葉も同じことを思ったらしい。自動販売機の裏でしゃがんだまま、下から目線でナゴミと確認するように目を合わせた。
「……ねえ、ナゴ。私今物凄く最悪なことが頭をよぎったんだけど」
「……うん。実は私もそうなんだよ。現実に起こらないといいねぇ」
―――ウイィン

