マンションから道路へ出た時、私の手が温かいものに包まれた。



「えっ……先輩!?」


9月とはいえ、まだ暑い。

それに手の熱さでさらにドキドキしてくる。



「手繋ぐのイヤ?」


こんな時だけ可愛い頼み方。

そういう風に言われたら断れないこと、先輩は知ってるのかな…?



「つ、繋いでも、いいです……」


小さな声でそう言ったら、先輩は「ふっ」と優しく笑って握る手を強くしたんだ。