瀬戸内は真剣な顔で、自分のほうへ走ってくるランナーを見ている。

こんなに一生懸命な顔したあいつを見たことはない。

そもそも、あいつの顔をじっくり見ることなんかほとんどなかった。



「瀬戸内くん、かっこいいね…」

萌の大きな瞳は、瀬戸内だけを見ている。

この時、あたしも瀬戸内のことしか見ていなかった。



前のランナーから、バトンが瀬戸内に渡される。



「瀬戸内くん、頑張れ~!」

可愛い声を張り上げて応援する萌。

あたしは親友の告白に、まだ動揺してる。

一途に瀬戸内を応援する萌の姿に、あたしは胸が痛んだ。