私は、いつになくよく話す亮介さんに相槌を打ちながら、目が潤んでいくのを止められなかった。

「どうした?」

「私の今の夢は、暖かい家庭を持つ事なの」

「二人で作ろうよ。ここで」

「うん。ありがとう、亮介さん…」

私は嬉し過ぎて、涙がとめどなく溢れてしまった。

「小枝子は泣き虫だなあ」

「だって…」

亮介さんは私をそっと抱きしめ、泣き止むまで、優しく頭を撫でてくれた。



その後は高速を走り、暖かい海辺の水族館でイルカショーやラッコを見て、洒落たレストランで美味しい食事をした。

今までの生涯で、最も楽しく、嬉しい思い出の一日だった。