「じゃあ、ここからだな。」

何往復もページをめくることを
繰り返していた彼の指先が 
『教会』と、
『ウェディングドレス』を
描いたページで止まった。




「その絵は・・・

エリスが・・・
病室で描いたものよ。」



「わかるよ。だって、急に
ここから先のページが
リアルになってるからな。」

彼は、そういって、
私の左手首に指を絡める。


「ショックだったわよね
・・・きっと。


一人で住んでた部屋でね、
切ったの・・・。

でも・・・
バスタブに溜まった水に
傷口が触れなくて。

水流が、常に
傷を洗っていて・・・。」


ーーーーー私はーーー

ーーー死に損ねたーーー



「カウンセリングに行って
病室に戻ると、
いつもエリスが居たわ。
こうやって絵を描いて、
私を待ってた・・・。」



話しながら、
瞼に熱を感じると同時に


涙が・・・あふれた。